2008年12月08日
急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎 acute epiglottitis:
細菌感染による喉頭蓋粘膜下組織の蜂窩織炎の一種。
起炎菌としてはインフルエンザ菌(Hib)、黄色ブドウ球菌、A群溶連菌。
[頻度・好発年齢]
欧米では小児に多いとされているが、
本邦では成人例30-40才台が多い。
性別では男性に多い。喫煙者に多い。
(私が経験した患者は全て喫煙者でした。)
[症状]
咽頭痛(甲状軟骨部で中から前に針が刺さるような感じの痛み)、
嚥下痛に始まり嚥下障害、
嗄声よりもむしろ発声困難、
ふくみ声(muffled voice)、マフラーをのどに巻いた声、
hot potato voice(熱いジャガイモを口に入れた時の声)が続き、
呼吸困難に至る。
臥位で苦しくなるため起座呼吸。
喉頭部での吸気性喘鳴聴診。
これらの症状が急激に進展する
→初発症状は風邪に類似(アーンとあけてみても何も問題ない)
喉頭蓋は喉頭の門戸をなし、発声時には挙上運動を行ない、
嚥下時には喉頭腔を閉鎖するような運動を行なう。
喉頭蓋に浮腫を生じると、これらの運動が制限され、
かつ喉頭入口部の面積が少なくなることによって吸気性呼吸困難を生じる。
嚥下時に食物などが喉頭蓋浮腫の表面に接触して嚥下時痛が起こると思われる。
患者は気道確保のため、自然と前屈位で頭部を進展させる。
[検査]
間接喉頭鏡、喉頭ファイバー
喉頭蓋の発赤腫大
ただし小児では不用意に舌根部を舌圧子で押したり、舌を索引しただけで
窒息起こすこともありえる。
Ⅹ線検査
立位・座位での撮影で(仰臥位で呼吸が止まることあり)
頸部を進展させないこと
側面撮影(喉頭高圧)にて喉頭蓋の腫大(thumb print sign)を認める。
補助診断として一番有用である。
血液検査
白血球増多、CRP上昇、好中球増多となることが多いくらい。
[治療]
成人例は大部分は保存的治療により治癒可能。
ときに急速進行性に気道狭窄をきたすものもあるので、
入院の上厳重に気道管理(場合によっては挿管・気管切開を行なう。)
抗生物質の投与 ABPC、セフェム系
ステロイド療法 サクシゾン300mg静注など
ネブライザー療法 ボスミン0.2cc吸入
[鑑別診断]
①扁桃周囲膿瘍:開口制限・口蓋垂の浮腫状腫脹と偏位
浮腫が喉頭に及ぶと呼吸困難
②副咽頭間隙膿瘍
③急性喉頭浮腫
④仮性クループ(急性声門下喉頭炎)
⑤急性喉頭気管気管支炎
Posted by かんずりキムチ at 17:57│Comments(0)
│耳鼻科
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